
FX取引を始めると、最初に頻繁に耳にする用語の一つが「ピップ(Pip)」です。
ピップとは「パーセンテージ・イン・ポイント」または「プライス・インタレスト・ポイント」の略で、為替レートの最小単位の値動きを表します。
ピップの概念を理解することは、価格変動の把握・損益計算・リスク管理のすべてにおいて不可欠です。
ここでは、ピップとは何か、どのように計算されるのか、そして関連する重要なポイントを詳しく解説します。
ピップの基本的な考え方
FXでは、通貨レートは通常小数点以下4桁まで表示されます。
この4桁目(0.0001)が「1ピップ」を示します。
つまり、ほとんどの通貨ペアでピップは最小の価格変化単位です。
例:ピップの変化
- ユーロ/米ドルが1.1000→ 1.1001 に動いた場合 → 1ピップ上昇
- 英ポンド/米ドルが1.3050→ 1.3055 に動いた場合 → 5ピップ上昇
一方で、日本円を含む通貨ペアの場合は、小数点以下2桁目 (0.01) が1ピップに相当します。
例:円を含む場合
- 米ドル/円が 110.00 → 110.05 に動いた場合 → 5ピップ上昇
ピップの価値の計算方法
ピップの価値は、取引数量(ロットサイズ)と取引する通貨ペアによって変わります。
一般的な計算式は次の通りです:
ピップ価値 = (1ピップ ÷ 為替レート) × ロットサイズ
例:ユーロ/米ドルの場合
1スタンダードロット(10万通貨)を1.2000で取引する場合:
(0.0001 ÷ 1.2000) × 100,000 = 8.33ドル/ピップ
ミニロット(1万通貨)やマイクロロット(1,000通貨)では、ピップ価値も比例して小さくなります。
ピップの位置を見分ける
ほとんどの通貨ペアでは、小数点第4位がピップです。
例:
ユーロ/米ドルが 1.2356の場合 → 「6」がピップ
円を含むペアでは、小数点第2位がピップになります。
例:
米ドル/円が 110.75 の場合 → 「5」がピップ
ピップの位置を素早く確認できるようになると、価格変動を正確に把握でき、損益判断もスムーズに行えます。
円ペアにおけるピップ位置の違い
ほとんどの通貨ペアでは小数点第4位がピップですが、円ペアは例外です。
日本円の価値が他の通貨に比べて小さいため、小数点第2位が1ピップに設定されています。
例:
米ドル/円が 110.50 → 110.55 に動いた場合 → 5ピップ上昇。
一方、ユーロ/米ドルが 1.1000 → 1.1005 に動く場合も 5ピップ変化ですが、こちらは小数点第4位での変化です。
ピペットとは?
ピペットとは、ピップの1/10の値動きを示す単位で、より細かい価格変化を測定するために使用されます。
非円ペアでは小数点第5位、円ペアでは小数点第3位がピペットです。
例:
- ユーロ/米ドルが 1.23567の場合 → 「7」がピペット
- 米ドル/円が 110.756の場合 → 「6」がピペット
ピップとピペットの違い
項目 | ピップ | ピペット |
|---|---|---|
小数点位置(非円ペア) | 第4位 | 第5位 |
小数点位置(円ペア) | 第2位 | 第3位 |
値の精度 | 標準的な測定単位 | より高精度な測定単位 |
ピペットは、スプレッドが非常に狭い取引や、スキャルピング(超短期取引)戦略において特に有効です。ごく小さな価格変化でも利益や損失に影響するため、ピペット単位の精度が重要になります。
ピペットの見分け方
ピペットは、ほとんどの通貨ペアでは小数点第5位、円を含む通貨ペアでは小数点第3位に表示されます。
例:
- ユーロ/米ドルが 1.23567 の場合 → 「7」がピペット
- 米ドル/円が 110.756 の場合 → 「6」がピペット
円ペアにおけるピペット位置の違い
円を含む通貨ペアでは、ピペットは第3小数点に位置します(通常ペアでは第5位)
例:
米ドル/円が 110.753→ 110.754 に動いた場合 → 1ピペットの変化。
これは、日本円が他の主要通貨に比べて単位価値が低いため、価格表示の桁数が少なく設定されているためです。
まとめ
FX取引において、ピップとピペットの理解は非常に重要です。以下に要点を整理します。
- ピップ:価格変動を測る基本単位(通常は小数点第4位)
- ピペット:ピップの1/10単位で、より高精度な価格変動を示す
- 円ペア:ピップは第2小数点、ピペットは第3小数点に位置
ピップとピペットを正確に理解することで、利益・損失・リスクをより精密に計算でき、取引の精度とコントロール力が格段に向上します。
ピップに関するよくある質問
ピップで損益を計算する方法は?
損益をピップで計算するには、次のようにします:
買い(ロング)ポジションの場合は、決済価格からエントリー価格を引き、ほとんどの通貨ペアではその差に10,000を掛けます。(円ペアでは100を掛けます)
売り(ショート)ポジションの場合は、エントリー価格から決済価格を引き、同じ係数を掛けます。
例:
ユーロ/米ドルを1.1050で買い、1.1080で売却した場合
(1.1080 − 1.1050) × 10,000 = 30ピップの利益
これを金額に換算するには、ピップ価値(ロットサイズと口座通貨によって異なる)にピップ数を掛けます。
標準ロット(1ピップ=10ドル)の場合、30ピップの利益は300ドルとなります。
ピップとポイントの違いは?
FXでは「ピップ」と「ポイント」という言葉が同じ意味で使われることもありますが、文脈によって異なる意味を持ちます。
通常、ピップは多くの通貨ペアで小数点第4位(0.0001)、円ペアでは小数点第2位(0.01)を指します。
一方、ポイントは最小単位の価格変動、すなわちピペット(ピップの1/10)を意味することが多いです(0.00001または円ペアで0.001)。
ブローカーやプラットフォームによっては、「ポイント」がピップ全体を指す場合もあれば、ピペットを指す場合もあります。
そのため、利用しているブローカーで「ポイント」がどちらの意味かを確認することが大切です。
口座通貨が決済通貨と異なる場合は、ピップ価値はどう変化する?
取引する通貨ペアの決済通貨と口座の基本通貨が異なる場合、ピップ価値を求める際に為替換算が必要になります。
例:
米ドル建て口座で英ポンド/円を取引する場合
ピップ価値 = (0.01 × ロット数) ÷ドル/円レート
1ロット(100,000通貨)でドル/円=110.50の場合
(0.01 × 100,000) ÷ 110.50 = 1ピップあたり9.05ドル
この計算を行うことで、異なる通貨建ての取引でも正確なリスク管理が可能になります。
ブローカーが5桁表示を使う理由は?
多くのブローカーが小数点以下5桁(円ペアでは3桁)で価格を表示するのは、ピペット(ピップの1/10)を反映するためです。
この追加の小数桁は、以下の利点をもたらします:
- スプレッドをより細かく設定できる(例:1.3ピップなど)
- 高ボラティリティ時の価格精度を高められる
- 注文執行やエントリー/決済をより正確に制御できる
- アルゴリズム取引(自動売買)への対応が容易になる
機関投資家のFX市場では1/10ピップ単位の価格が一般的なため、リテール向けの取引プラットフォームでも同様の形式を採用しています。
なお、損益計算では依然として1ピップ単位が標準的な基準となります。
取引スタイルによって、狙うべきピップ数は変わる?
取引スタイルによって、目標とするピップ数は大きく異なります。
- スキャルピング:1回の取引で5〜10ピップを狙い、1日に複数回取引を行う
主に1分足〜15分足の短期チャートを使用し、市場の流動性が高い時間帯に集中して取引する - デイトレード:1回あたり15〜50ピップを目標とし、15分足〜1時間足で分析
ポジションは1日以内に決済し、翌日に持ち越さない - スイングトレード:50〜200ピップ以上を狙い、4時間足〜日足を使用
ポジションを数日から数週間保有し、中期的なトレンドを狙う - ポジショントレード:200〜1,000ピップ以上の長期的利益を目指す
日足〜週足を活用し、数週間〜数か月のスパンで取引する
ピップ目標は、自分の取引時間軸や各通貨ペアの平均日中変動幅に合わせる必要があります。
たとえば、ユーロ/米ドルは1日あたり80〜100ピップ、英ポンド/米ドルは100〜150ピップ程度動きます。
また、リスクリワード比を常にプラス(例:リスクより利益幅を大きく)に保つことが重要です。
ピップを使ったストップロスとテイクプロフィットの設定方法
ピップを基準にすることで、明確で一貫したリスク管理が可能になります。
- ストップロス(損切り)の設定
まず、チャート上の明確なテクニカル水準(ロングならサポートの下、ショートならレジスタンスの上)を確認します。その距離をピップ単位で測定し、リスク許容度と照らし合わせます。
一般的なルール:
1回の取引で口座残高の1〜2%以上をリスクにさらさないこと。
例:
- 口座残高が10,000ドルの場合、1%=100ドルのリスク。
- ユーロ/米ドルのピップ価値が10ドル/ピップ(標準ロット)なら、
- 最大ストップロスは 10ピップ に設定します。
もし市場のボラティリティが高く、より広いストップが必要な場合は、ポジションサイズを縮小します。
2. テイクプロフィット(利確)の設定
リスクリワード比を最低1:2に保つことが推奨されます。(例:リスク20ピップ → 目標利益40ピップ以上)
特にボラティリティが高い相場や大口ポジションの場合、ピペット単位で設定することで、より正確な利確・損切りが可能になります。
主要通貨ペアの日中平均ピップ変動幅は?
通貨ペアによって1日の値動き(ボラティリティ)は大きく異なります。これを把握することで、現実的な利幅目標や戦略を立てやすくなります。
通貨ペア | 平均日中変動幅 | スプレッド傾向 |
|---|---|---|
ユーロ/米ドル | 70〜100ピップ | スプレッド0.1〜0.5で非常に狭い |
英ポンド/米ドル | 100〜150ピップ | やや広め(0.5〜1.5) |
米ドル/円 | 60〜90ピップ | 中程度(0.5〜1.0) |
米ドル/スイスフラン | 70〜100ピップ | 安定した値動き |
豪ドル/米ドル | 60〜90ピップ | 中程度 |
英ポンド/円 | 150〜200ピップ以上 | 非常に高ボラティリティ |
これらの値動きは、ロンドン/ニューヨーク市場の重なる時間帯(8:00〜12:00 EST)に最大化し、アジア時間帯には比較的穏やかになります。
また、中央銀行の政策発表や経済指標、地政学的ニュースの際には、平均レンジが急拡大することもあります。

