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ベストなトレーリングストップ手法:最大利益を引き出す戦略の最適化

上級ガイド

Aurra Markets Editor

公開日 2025-08-04

更新日 2025-10-29

People climbing a mountain

トレーリングストップは、取引が有利に進んだ際に決裁逆指値の位置を動的に調整することで利益を保護する、リスク管理のためのツールです。固定決裁逆指値とは異なり、価格の動きに合わせてストップが移動し、損失を限定しながら利益拡大の可能性も確保できます。

本ガイドでは、市場全体で用いられている代表的な4つのトレーリングストップ戦略を紹介します:固定ピップ/ポイント制、パーセンテージ制、インジケーター連動制、マルチタイムフレーム制。これらは、トレーダーのスタイルやリスク許容度に応じて使い分けられます。


固定ピップ/ポイント制トレーリング

もっともシンプルな方法のひとつで、現在の市場価格から一定のピップ(またはポイント)離れた位置にトレーリングストップを設定します。

  • 運用方法:たとえばEUR/USDの買いポジションで30ピップのトレーリングストップを設定すると、価格が上昇するたびに30ピップ差を保ちながらストップが追随します。
  • 適用例:短期取引、特にスキャルピングやデイトレードなど、値動きの速い市場で有効です。
  • メリット:実装が簡単でわかりやすく、機械的な取引規律を維持できます。
  • デメリット:ボラティリティが高い局面ではストップが早期に発動される可能性があります。


パーセンテージ制トレーリング

固定ピップではなく、現在価格から一定のパーセンテージでストップを設定する方法です。

  • 運用方法:たとえば株式を100ドルで購入し、3%のトレーリングストップを設定すると、価格が上昇するたびに最高値の3%下にストップが調整されます。
  • 適用例:ボラティリティをパーセンテージで把握しやすい株式やスイングトレード向けです。
  • メリット:取引金額に比例して調整されるため、規模に応じて柔軟に対応できます。
  • デメリット:為替市場では値動きのパーセンテージが小さいため、ピップ単位との整合性が取りにくい場合があります


インジケーター連動制トレーリング

移動平均線、ATR(平均真の値幅)、パラボリックSARなどのテクニカル指標を使って、決裁逆指値の位置を自動的に調整する方法です。

  • 運用方法:たとえばATRを使う場合、現在のATR値の1.5倍を基準にストップを移動させます。
  • 適用例:トレンドフォロー型の戦略や、ボラティリティに応じて柔軟にストップ位置を調整したいトレーダー向けです。
  • メリット:市場状況に応じて反応するため、低・高ボラティリティ時の保護が強化されます。
  • デメリット:技術的な知識が求められ、価格の反転に対する反応が遅れる場合があります。


マルチタイムフレーム制トレーリング

上位タイムフレームのサポート/レジスタンスやインジケーターを基準に、下位タイムフレームでのトレードにトレーリングストップを適用する高度な手法です。

  • 運用方法:たとえば15分足でエントリーしたポジションに対し、1時間足の移動平均線やサポート水準を使ってストップ位置を調整します。
  • 適用例:短期でエントリーしつつも、上位足のノイズ回避や相場構造を意識したいトレーダーに適しています。
  • メリット:広い視野での価格の動きを考慮できるため、ダマシやノイズによる早期決済を防げます。
  • デメリット:導入と管理が複雑で、マルチタイムフレームの分析力が必要です。


結論

トレーリングストップは、利益を確保しつつポジション管理を行うための不可欠な手法です。シンプルな固定型から、ボラティリティに連動するダイナミックな戦略まで、どの手法も「自分のトレードスタイル・市場環境・リスク許容度」との相性が鍵になります。トレーリングストップを使いこなせば、利益の最大化と取引の規律を両立できるようになります。


FAQ: トレーリングストップ手法に関するよくある質問

1. デイトレードとスイングトレードで最適なトレーリングストップの距離は?

デイトレードでは、トレーリングストップは比較的タイトな設定が理想です。主要な通貨ペアであれば10〜15ピップ、株式であれば0.5〜1%程度が、値動きの余地を残しつつ利益を保護するバランスの良い設定です。

一方、2期間のATR(平均真の値幅)を使った動的な方法も有効です。スイングトレードでは、通常のボラティリティによる早期終了を避けるために、より広いトレーリングストップが必要になります。為替では25〜50ピップ、株式では2〜3%が目安です。

スイングトレーダーには、10期間のATRに1.5を乗じた値を使う方法も効果的です。

違いのポイントは時間軸の捉え方にあり、デイトレーダーは短期の値動きを捉えることを優先し、平均利益が小さくても頻度で補います。一方、スイングトレーダーは数日に渡るトレンドを活かすため、ある程度の価格変動を許容する必要があります。

2. トレーリングストップがタイトすぎるか広すぎるかをどう判断すればいい?

次のような兆候があれば、トレーリングストップの調整が必要です。

  • ストップがタイトすぎる場合:目標に到達する前に頻繁に損切りされる、勝率が30%未満、ストップにかかった後すぐに同じ方向へ再エントリーしてしまう、ストップ後すぐに価格が戻ることが多い。
  • ストップが広すぎる場合:平均利益の50%以上を利確前に失っている、リスクリワード比が1:1を下回っている、勝ちトレードがあるにも関わらず口座残高の変動が激しい。

理想的なトレーリングストップは、市場の通常の変動を許容しながら、最大利益の60〜70%以上を保持できる水準です。

3. 動的トレーリングストップとして最も信頼性の高いインジケーターは? 

市場状況によって異なります。

  • トレンド相場では、パラボリックSARがトレンドの進行に応じて加速的にストップを調整するのに優れています。また、20期間のEMA(指数移動平均)をストップの目安として使うのも有効です。
  • ボラティリティが高い相場では、ATRを2〜3倍にした値を使うことで、値動きの激しさに応じた柔軟なストップ設定が可能になります。
  • レンジまたは複雑な相場では、ボリンジャーバンド(上昇トレンドでは下限、下降トレンドでは上限)とスーパートレンドの併用が有効です。

多くのプロトレーダーが最も汎用性が高いと考えているのはATRベースのトレーリングストップです。理由は、市場のボラティリティ変化に自動的に適応するためです。

4. プラットフォームにトレーリングストップ機能がない場合の対処法は? 

いくつかの代替手段があります。

  • MetaTraderの場合は、MQLで作成されたカスタムのエキスパートアドバイザー(EA)を使用可能。多くの無料テンプレートがあり、パラメーターを調整するだけで使えます。
  • TradingViewなどでは、TradePanelのようなプラグインやAutoStopLossなどの外部ツールを利用できます。プログラミングが難しい場合は、事前にストップ条件に達した際に通知を送るアラート機能を活用し、手動で調整する方法もあります。
  • 完全自動化を目指すなら、Cloud9TraderのようなAPIサービスを使った有料ソリューションを検討するのも手です。

もっとも手軽な方法は、価格が設定レベルに到達したときにアラートを受け取り、その都度手動でストップを動かすというやり方です。

5. 仮想通貨のようなボラティリティの高い市場に適したトレーリングストップ手法は?

複数の技術を組み合わせた方法が有効です。 

  1. ATR×3〜4倍のボラティリティベースのトレーリングストップを用い、大きな値動きに対応
  2. 時間フィルターを導入し、ボラティリティの高い時間帯(ニュース発表直後など)はストップの調整を避ける
  3. 段階的なストップ縮小法:たとえば利益が5%に達したら4×ATR、10%に達したら3×ATR、さらに進めば2×ATRと徐々にストップを狭めていく

さらに、エントリーのタイムフレームよりも上位足のチャートでストップを設置することで、仮想通貨特有の激しい値動きによるノイズで早期にストップされるのを防げます。

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